新しい時代のインフラへ

ヴァンガードスミス

November 29, 2022 Photo Masahiro Goda Text Asuka Kobata

近年、増加の一途をたどる近隣トラブル。そんなトラブルを事件へと発展させないために生まれたのが、ヴァンガードスミスによる近隣トラブル解決支援サービス「Pサポ」だ。同社代表取締役の田中慶太氏と事業戦略部の中里香李氏に、そのサービスの詳細をうかがった。

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田中慶太 たなか・けいた(左)
ヴァンガードスミス代表取締役1981年、北海道生まれ。2003年に小樽商科大学を卒業し、北海道警察官拝命。退職後、民間企業で事業再生、人材マネジメントなどに携わり、14年にヴァンガードスミスの前身となる経営支援事業会社を設立。
中里香李 なかさと・かおり(右)
ヴァンガードスミス事業戦略部 GM.1987年、神奈川県生まれ。大学卒業後、民間企業を経て、神奈川県警察官拝命。退職後、トラブル相談員としてヴァンガードスミスに入社。現在は、事業戦略部門の責任者の傍ら、相談員を務める。

騒音やゴミ出し、ペットにかかわる近隣トラブルを始め、つきまとい、さらにはSNSでの誹謗中傷など、個人間のトラブルに悩まされている人は、実は多い。時代の変化により地域社会のつながりが希薄になり、隣人の顔を知らないような暮らしが当然となっている昨今、このようなトラブルは今後もますます増加することが想像される。大ごとになる前に解決したいと思っても、トラブルの相手と直接話すには抵抗があり、誰にどう相談すればよいのか分からないというのが現状ではないだろうか。
 
誰もが安心・安全に暮らせる社会を目指すヴァンガードスミスの「Pサポ」は、そんなトラブルを事件にしないために生まれたサービスだ。何らかのトラブルが生じた際に気軽に相談ができ、当事者たちの間に入るなどして解決をサポートしてくれる。同社の代表取締役である田中慶太氏は、北海道警察に務めたのち複数の企業勤務を経て起業。「Pサポ」のようなトラブル解決支援事業を始め、貸別荘事業やリノベーション事業などを行っている。

「些細なトラブルだったとしても、相談できずに我慢していると大きなストレスとなり、ときには殺傷事件にまで発展することも。警察官は犯罪の未然防止に努めますが、踏み込んで解決できないトラブルの多さに力不足を感じてきました。警察官が対処しにくい領域でもっと人々に寄り添い、事件を予防する仕組みを作りたいと考えたのです」と田中氏。
 
そうして生まれた「Pサポ」の何よりもの特徴は、相談員が全員、元警察官であること。専門的な知識やノウハウ、ストレス耐性、豊富な現場経験などを備えた相談員が、最初の電話相談から対応してくれる安心感は絶大なものがある。

「解決へと導くために特に大切になるのは、正確に事実関係を把握すること。しかし、トラブルの渦中にある当事者は感情的になったり、事実と少し異なることを話すケースも少なくありません。元警察官は聴取のスキルも持っていますから、事実をうまく引き出しやすいのです」と中里香李氏も話す。
 
また、定額の会員制サービスで、月額数百円の会費を支払えば、相談時の追加料金や解決時の成功報酬がかからない点も特徴的。トラブルに直面してから対処法を検討するとなると、相談先やコストなどで悩んでしまい、どうしてもタイムラグが生じるのが通常だ。そこで「Pサポ」は困っている人を少しでも早く助けるシステムとして、平時から備えていざというときにすぐに相談できる会員制サービスを採用している。

「小さな不安や困りごとを気軽に相談できる“相談プラットフォーム”になりたいと思っています。私たちの存在が安心して暮らせる社会の実現につながるはず」と田中氏。現在は不動産仲介・管理会社に向けたサービス「mamococca」を販売しているが、今後は法人向けもリリース予定。トラブル解決支援サービスが私たちの暮らしに必要不可欠なインフラになる日は、そう遠くないだろう。

●ヴァンガードスミス TEL03-6205-7696 

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