ラグジュアリーの進化形

ファルコネーリ

January 24, 2023 Text Yasushi Matsuami
January 13, 2023 Last modified

母国イタリアはもちろん、グローバルな展開を加速させているイタリアンカシミヤブランド、ファルコネーリ。同ブランドを傘下に置くカルツェドニア・グループ創業者兼会長サンドロ・ヴェロネージ氏に話を聞いた。

サンドロ・ヴェロネージ氏
サンドロ・ヴェロネージ
カルツェドニア・グループ創業者兼会長。1986年ヴェローナでレッグウェア&スイムウェア・ブランドのカルツェドニアを創業、その後ランジェリーブランドのインティミッシミ、カジュアルさが人気のデゼニスなども立ち上げ、2009年にファルコネーリを傘下に。現在グループ全体で世界55カ国、5076店舗以上の規模に成長させる。現在のイタリアのファッションシーンで、最も影響力のある一人である。

2019年秋の日本上陸以降、着実に支持を広げているイタリアンカシミヤブランド、ファルコネーリ。21年10月には銀座に直営ブティックを出店した。「銀座ブティックは我々の誇りです。顧客の方々とより密接な関係を築く上で重要な役割を担っています」
 
ファルコネーリを傘下に置くカルツェドニア・グループ創業者兼会長サンドロ・ヴェロネージ氏は、日本への親密さを込めてこう語る。

「日本の顧客の方は品質の高いものをよく理解されています。ですから、日本という市場に大きな可能性を感じてきました。我々のファクトリーには島精機製作所のニットマシンを導入していますが、その良好で強い絆も、日本への意識とつながっています。実際のところコロナ禍が我々の成長を停滞させましたが、アフターコロナの時代に向け、新たな挑戦を始める時です。日本においては25年までに4~5店舗の路面店、約20の百貨店などのインショップ出店を考えています。ファルコネーリだけでなく、グループの全ブランドの日本全国への展開を進めたい」
 
ファルコネーリの強みとは?

「カルツェドニアのビジネスを進めてきた中で、ファルコネーリを1999年に立ち上げていた知人で、現在もメンズウェアのクリエイティブデザイナーであるピエランジェロ・フェンツィから、支援の依頼を受けました。ニットウェアについては、それまで知識も情報もなく、彼と話し合いを進める中で、『これまでにないものを創りそう』という結論に至りました。永遠の美しさと、愛着を持って着続けられるウェアの価値を信じ、最初から最後まで、全ての細部にまでこだわりを持って事業を展開する。これは決して簡単ではありませんでしたが、顧客の皆様に品質を認めていただくことが、我々の喜びにつながっています。昨今の温暖化はニットウェアの敵になるという指摘もありますが、ウルトラファインという革新的なカシミヤも作り上げました。かつてない繊維で、どの季節でも着用できます。
 
我々の秘密は高級な天然繊維、イタリアのクラフツマンシップ、革新的な生産方法の魔法の組み合わせです。モンゴルの牧草地から店舗まで中間業者を通すことなく、細部までこだわりを持ち、環境と人に敬意を払う。一人ひとりの特別なお客様に特別な商品を提供する、それがラグジュアリーの進化です。それを実践しているのがファルコネーリです」

  • ファルコネーリのカシミヤ1 ファルコネーリのカシミヤ1
    ファルコネーリのカシミヤは、チベットからモンゴルにかけて続く海抜4000m以上の昼夜の寒暖差の大きい高地に生息するカシミヤヤギから採取。
  • ファルコネーリのカシミヤ2 ファルコネーリのカシミヤ2
    原毛の洗浄、紡績、耐久性テストから、クラフツマンシップと先進的な製造方法とを融合した縫製に至るまで、ほとんどのプロセスがトレント・アヴィオの自社ファクトリーで行われている。
  • ファルコネーリのカシミヤ3 ファルコネーリのカシミヤ3
  • ファルコネーリのカシミヤ1
  • ファルコネーリのカシミヤ2
  • ファルコネーリのカシミヤ3

ビジネスで大切にしていること、そして今後の夢は?

「会社にとって本当に大切なのは“人”です。一人ひとりに得意なこともあれば、そうではないこともある。個性を見極め、適材適所で力を発揮してもらうことが大切です。私が立ち上げた現在の会社ですが、今後、私がいなくなったとしても、素晴らしい企業であり続けてくれることが夢と言えるでしょう。私の三人の子供たちも、事業を応援してくれています。特にファルコネーリは、まだ若いブランドですから、さらなる成長に期待していますね」

●ファルコネーリ 銀座店 TEL03-6264-5063 www.falconeri.com/jp

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