
ⓒVins du Beaujolais / Etienne Ramousse
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ボジョレー地区とは、フランス東南部、ブルゴーニュの南端からリヨンの北まで、約55㎞にわたる丘陵地帯を指す。栽培されているブドウは、ガメイ種が大半で、これを用いたワインがボジョレーワインである。ボジョレー・ヌーボーは、ご存じの通り、その年に収穫されたブドウを使った新酒のことをいう。
6月に開花したブドウの花は、下旬にかけて徐々に実をつけ、7月には成長し色づき、8月には収穫の時を迎える。フランスの赤ワインの多くは、収穫したブドウの実を潰して果汁を取り、タンク内で発酵させるのだが、ボジョレーでは、破砕せず房のままタンク内に入れ、ブドウ自体の重みで自然に潰れて出てくる果汁を発酵させる。
この際、タンク内に発生する炭酸ガスを利用して発酵させる方法と、炭酸ガスを追加で充填する方法とがあるが、ジョルジュ デュブッフ社などは、伝統的な前者の方法を採る。これはマセラシオン・カルボニックという発酵方法で、このためには収穫の際、機械摘みではなく、手摘みする必要がある。意外と手のかかるプロセスが必要なのだ。

ⓒVins du Beaujolais / Etienne Ramousse
通常1週間の発酵期間を5日に短縮し、摘果からわずか3週間で瓶詰めされたヌーボーは、軽快でフレッシュな果実のような味わいが特徴。ベリー系の甘酸っぱさやバナナのような風味、また花のような香りを感じさせ、意外な複雑性も持っている。
ヌーボーばかりが注目されがちだが、通年品のボジョレーワイン、より高品質なガメイ種から造られるボジョレー・ヴィラージュ、さらに村名を名乗ることを許されたクオリティーの高い10のクリュ ボジョレーもある。

通常のボジョレーを名乗るワインは、ボジョレー地区の主に南側で生産される。ボジョレー・ヴィラージュは、それよりも北側の花か 崗こう岩がんを主体とするエリアで生産され、さらにその中央部の、よりガメイ種に適した土壌を有する10村、いわくムーラン・ナ・ヴァン、フルーリー、サンタムール、モルゴン、ブルーイィなどなどがクリュボジョレーの産地となっている。後者ほど、ガメイ種由来の華やかさの中に、豊かなボディーを感じさせる仕上がりとなる。このうち、ムーラン・ナ・ヴァンは、ボジョレーで唯一、木樽たるで発酵させたワインを用いており、長期熟成にも向いている。
写真・取材協:ボジョレーワイン委員会