
自然に敬意を払い、芸術の域にまで高めたいと愛情を持って造られたヴァルドゥエロのワイン。厳しい環境を受け止め、手間と時間を存分にかけた至極の味わいが、今冬から日本でも楽しめる。創業家の熱い思いを知り、その極みを堪能したい。
スペインのブルゴーニュと呼ばれる赤ワインの銘醸地リベラ・デル・ドゥエロで、自然をリスペクトしながら丁寧なワイン造りを続けるヴァルドゥエロ。1984年、父と2人の娘で創設して以来ヨーロッパワインのトップ10に入ることを目指し、たゆまぬ努力を続けてきた。
尽きることのない彼らの情熱は夢を実現させ今では世界が認めるクオリティーのワインとして名をはせている。会員制クラブには各界の著名人が所属し、サッカー界の帝王クリスチアーノ・ロナウドもその一人だ。
なんとうれしいことに、このワインが今冬日本に初上陸することとなった。これを機に、創設者であり現CEOのカロリーナ・ガルシア・ヴィアデーロさんが来日。ヴァルドゥエロの魅力を存分に語ってくれた。
曽祖父の土地を譲り受けてワインを造り始めたとき、彼らはぶどう栽培の標高の限界とされる約1000mの地を畑に選んだ。なぜなら、極限状態で生き抜くことで、酸のしっかりした骨格のあるぶどうができるからだという。農薬や殺虫剤の不使用はもちろん、灌漑すらせず自然のままにぶどうを育てている。「自然が与えてくれる以上は求めないというのが私たちのポリシーです」と、カロリーナさんは言う。

すべてのワインがレセルヴァだが、グレードによって1本の木に6房から1房だけを残して摘果し、ぶどうの力を凝縮させる。手間暇かけて育てられたぶどうは手摘みされ天然酵母で発酵。そこから熟成の段階に入るわけだが、その工程はヴァルドゥエロがワインの芸術と言われるゆえんだ。複数種の樽を使ってワインにさまざまな経験をさせるのだ。その中でワインは成長し最高の熟成へとたどり着く。さらに瓶内で3~12年ねかせ、まろやかさを増す。
「若いワインは活力だけでなく角もあります。それを樽に入れて、酸素と接触させることで少しずつ丸くさせていきます。その後、瓶に詰めて酸素との接触を断ち、数年間ねかせます。完全な密封状態の中で長時間一緒にいることで、それぞれの分子は友だちになり、調和のとれた状態になります。こうして初めて至高の味わいが生まれるのです」
現代の流れに逆行するかのごとく手をかけ、時間をかけ、慈しんで造られたワインは、ヨーロッパのトップ10どころか、世界の頂点に君臨するようになっていた。なかでも3種の樽を使って3年熟成させ、さらに3年おいた「6 AÑOS(セイス・アニョス)レセルヴァ」は、ブラインドテイスティングで世界の名だたるワインを超えロマネコンティのエシェゾーに次ぐ2位に輝いた。
また今回紹介されたワインの中で最高ランクの「ウナ セパ プレミア」は、1本の木に2房を残して摘果し、四つの樽で5年、そのあと7年瓶熟成。毎年200~300本の限定生産だ。そして六つの樽で4年、8年の瓶熟を経た「12 AÑOS(ドセ・アニョス)グランレセルヴァ」は、ロナウドが愛してやまない一本。ヨーロッパのコレクター垂涎の的である。
先頃、初上陸のお披露目にメーカーズランチが開かれ、美味なる料理とのマリアージュに酔いしれた。
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