みずうみワーケーション賛歌

鳥取県湯梨浜町

January 10, 2023

鳥取県のほぼ中央に位置する湯梨浜町。東郷湖の周りには豊かな自然が広がり、全国でもめずらしい湖底から湧き出る温泉もある。ここで「みずうみワーケーション」をしてみよう。

東郷湖

長引くコロナ禍によって、広く普及したものといえばテレワークだろう。進化し続けるネットワーク環境を活用すれば、人の多い場所を避けて自宅でも仕事はできる。ならば、自宅でなく、都市から離れ自然に囲まれた地であってもテレワークであれば同じこと。それがワーケーションの広がりにもつながったといえるだろう。ワークとバケーションを一つに、という発想だ。
 
鳥取県のほぼ中央に位置し、日本海を望む湯梨浜町は、独自の「みずうみワーケーション」を提唱している。「みずうみ」とは、この町のシンボルともいえる東郷湖だ。朝日に光り、夕日に映え、月を浮かべる、きれいな水景色。日本海とつながる汽水湖ならではの生き物たちも元気。湖畔に趣のある宿が集まり、拠点となる。およそ12㎞の湖周の道は、ウォーキングやランニングには絶好だ。さらに、山里が楽しめ、浜辺で遊べる。何よりの人気は、全国でもめずらしい湖底から湧き出る温泉だ。

リモート会議
本社のスタッフとリモート会議。携帯電話とパソコンを持ち込めば、どこにいても、そこが今日のマイデスクになる。

ひと言でワーケーションといっても、さまざまなスタイルがあるだろう。2022年に実施された三つの例を挙げてみよう。
 
一つは、「集うなら湖畔で」タイプ。それぞれが独自の活動をしている気心の知れた三人のミュージシャンは、セッションを組むことも多く定期的に音を合わせる機会が欠かせない。ところが、コロナでままならない。そうだ、スタジオに閉じこもらず、空気がよく、景色もいい地で伸び伸びやるのはどうだろう。それぞれがリモートで仕事をしながら、湖畔で音合わせ。町の人びとと触れ合いも生まれ、最終日には湖畔の超ミニコンサートも実現した。

SUP
思いっきり頭を使ったら、湖アクティビティでリフレッシュ。初めてでもインストラクターが丁寧にガイドしてくれるカヌーやSUPが人気。

もう一つの例は、「発想転換」タイプ。大手ケーブルテレビ局運営企業で、報道系、料理系、スポーツ系、美術系など多彩な分野の番組制作に携わるメンバーたち。普段は居酒屋で議論もするが、正直あまり実りないことをみんな知っている。発想転換は水辺にかぎる。一気に決まった。仕事ははかどった。いいアイデアも生まれた。同時に、一人は、湖に出てSUP(スタンドアップパドルボード)に挑戦する。一人は里へ向かってノルディックウォークだ。一人はレンタサイクルに乗り、まず湖を一周し、東西南北が頭に入ったところで、町の探索サイクリング。誰もが仕上げに、源泉掛け流しの温泉にざぶん。
 
三つめは、「ファミリーまるごと」タイプだ。仕事仲間でやるものばかりがワーケーションではない。まずは、家族そろって「ファミリーお料理教室」に参加。地元の親子との交流を楽しんだ。翌日、父はテレワーク。母と娘は道の駅で買い物など、家族旅行では経験できない充実時間が過ごせた。

  • 湖屋 湖屋
    水景色を眺めながらリモートワークできる宿泊施設の一つ、「湖屋(こや)」は、源泉掛け流しの温泉も完備。グランピング感覚で利用できる。
  • 七福神の湯 七福神の湯
    東郷湖の周囲にはその名もめでたい「七福神の湯」が設けられている。いずれも眺める水景色が異なり、何度入っても新鮮な気持ちで楽しめる。
  • 湖屋
  • 七福神の湯

東郷湖あたり全体を大きなオフィスととらえれば、大会議場もあり、閉じこもり書斎もあり、言うまでもなく通信環境は万全。思索にふける場所は至るところにある。さらに同エリアを大きな健康ジムととらえれば、歩き回る道が無数にあり、自然そのものをトレーニング用具にできる。あちこちに足湯もある。

「帰る日の朝のことでした」。ワーケーションに訪れたファミリーは言う。「一羽の白鳥が湖面を滑ってやってきました。またおいで、と見送りの挨拶みたいに」

●鳥取県 湯梨浜町役場 産業振興課 TEL0858-35-5382 
みずうみワーケーション特設サイト uu-yurihama.jp/workation/2022/

新着記事

おすすめ記事

ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE’S CODE DIGITAL」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。