時代と共に新化するオープンカーの数々

2008年9月に開催されたパリ・モーターショーには、環境適合という世界的潮流や米国のサブプライムローン問題から飛び火した自動車業界の大寒波などの暗い雰囲気を吹き飛ばしてくれるニューモデルが一堂に会した。また今回パリに出展された数々の車のなか、爽快で開放感ある走りを満喫できるオープンモデルの車種が、一際目を引いていた。
電動で開閉するメタルルーフを備え、オープンカーであるがゆえの我慢を強いられることはない近年のオープンカーは、ドライバーが欲するとき即座にオープンエアを提供し、悪天候時はクローズドカーと変わらぬ快適性を約束する。やみくもな高出力、過剰な装備が反社会的になりつつある昨今、自然がもたらす快感を気軽に味わえるオープンカーの時代がやってきた。今回、フェラーリ、プジョー、レクサス、マツダの4社にフォーカスし、各社の新化するオープンカーを紹介する。
「美」フェラーリ・カリフォルニア

わずか14秒で、硬派なスポーツカーから優雅なオープンカーに早変わり。フェラーリ・カリフォルニアは、リトラクタブル式ハードトップを備える2+2クーペだ。フェラーリの最新GT(グラン・トゥリスモ)モデルとしてこの世に生を受けた。
車名は往年の名車250GTカリフォルニア・スパイダーから取っており、引き締まったスタイリングはピニンファリーナが受け持った。ハードトップの電動ルーフが大きなトピックだが、ミッドフロントにV8を積んで後輪を駆動するのもフェラーリとして初の試み。エンジンも新開発の直噴4.3リッターで、最高出力460hp/7750rpmを叩き出す。搭載される7速デュアルクラッチ・トランスミッションは、スポーツドライビングから優雅なクルージングまでラクラクこなす。CO2排出量305.6g/kmと環境適合性能を訴える利口なスポーツカーなのも注目すべきだ。実用、エコ、そしてフェラーリならではの走りの良さを兼ね備えた万能オープンを歓迎したい。
●フェラーリ・カリフォルニア専用サイト
https://www.ferrari.com/ja-JP/auto/california-t
「快」プジョー308CC

“CC”という名のクーペ・カブリオレ。思えばプジョー206CCがリトラクタブル式ハードトップを定着させた張本人だった。スイッチひとつでクーペにもオープンにもなる、その利便性はいまや世界中で定着した。プジョーのCCシリーズは、世界累計45万7000台を記録するヒットシリーズとなった。
今年のパリでプジョーが発表したのは、すでにハッチバックが日本の路上を走り始めている308シリーズの“308CC”。大人4人がゆったり座れるフル4シーターのクーペ・カブリオレは、エレガントなエクステリアと、充実した装備が嬉しい豪華なインテリアが同居している。乗員の首回りを温風で暖めるエアウェーヴ・システムを始め、前席電動可倒機構、電動格納式7インチワイドディスプレイ、10スピーカー専用オーディオなど、至れり尽くせりの充実した装備だ。ルーフ開閉にかかる時間は約20秒。我慢を強いられるオープンカー・ライフはもう過去の遺物である。
●プジョー・ジャパン
https://www.peugeot.co.jp/
「豪」レクサスIS250C

レクサスから個性的なオープンモデルが誕生した。その名もIS250C。インテリジェント・スポーツの意を持つISシリーズの屋根を3分割の電動ルーフとし、およそ20秒でフル4シーターカブリオレに変化させる2ドアクーペである。「2モードスタイル」をコンセプトに、どちらの状態でも流麗なスタイリングを実現した。また、オープン走行に耐えうるボディ構造の強化を始め、フロントウインドウの形状を変更し、風の巻き込みを最小限に抑えている。オープン、クローズそれぞれの状態に合わせてエアコンやオーディオ音質、ターンシグナル音量などを調整する機能も備える。オープン時であってもゴルフバッグ1個を収納できるのは嬉しいところ。概して、レクサス流の「もてなし」はカブリオレであっても存分に堪能することができる。
このIS250C、来春にはお目見えする予定。兄貴分のSCシリーズと合わせて2009年はレクサスのカブリオレに期待大である。
●レクサスのHPはこちら
https://lexus.jp/
マツダ・ロードスター

1989年、それまでヒストリックカーの特権とされていたオープン・ライトウエイトスポーツカーの世界を身近に体験できると、ジャパンメイドのロードスターは世界的に歴史的な大ヒットを記録した。当時はユーノス、現在はマツダの冠のもと、3代目となって2年以上が経過した今年のパリで、マイナーチェンジモデルを発表した。欧州名であるMX-5の名で発表されたそれは、近年のマツダ車に共通する五角形グリルを採用し、ヘッドランプは切れ長に、より精悍なマスクに変化した。また、ソフトトップとハードトップでは意匠が変更され、電動ルーフを備えるハードトップはよりプレミアム志向となった。
“人馬一体”を謳う走行性能にも磨きがかけられた。2.0リッター直4エンジンは、ピストンのフルフロート化や鍛造クランクシャフトの採用など熟成を進め、ミッションやボディなどの強化もおこなわれた。まもなく20年が経過するロードスターの勢いは止まらない。
●マツダ・ロードスター専用サイトはこちら
https://www.mazda.co.jp/cars/roadster/