ひと昔前なら「文武両道」とか、「二刀流」なんて言われ方をしたかもしれない。二つの別々の分野のものを成し遂げた時の例えだ。
今ならまさしく「ハイブリッド」。そもそもは植物で言うところの雑草とか混合物を意味するそうだが、今日のそれはちょっと違う。ハイブリッドカーの登場によって、二つの異素材を組み合わせたものによく例えられる。アルミとカーボンのハイブリッド構造、などもその実例だ。
なぜそんな話をするかといえば、新型レンジローバースポーツの特徴がまさにそんな感じだからだ。こいつは一つのクルマであって二つの分野に長けた実力を備えている。

ボディー:全長4850×全幅1983×全高1780㎜
エンジン:5ℓ V型8気筒
最高出力:375kW(510ps)
最大トルク:625Nm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:4WD
価格:未定
二つの分野とは、言わずもがなオフロードとオンロード。長年オフローダーとして名を売ってきたレンジローバーブランドだが、今回のオンロード性能は進化がすごく、トップランナーとして差し支えないレベル。これぞオン&オフロードの二刀流。誤解を恐れずに言えば、二つの分野でのハイブリッドカーとなる。
その性能を裏付ける目玉は自身初のアルミニウム構造フレーム。ラグジュアリースポーツカーも積極的に使うそれは、コストは要するがクルマを軽く堅牢にするのに最良の手法だろう。すでに発売を開始しているレンジローバーは手にしているが、このスポーツも同じ技術をベースとすることとなった。先代のフレームがディスカバリーと共有していたのを鑑みれば、かなりの出世だ。結果、同じエンジンを搭載したモデル比で最大 420㎏ のダイエットに成功。加速性能はもちろん、ハンドリング性能までも高めることとなった。

冒頭で言いたかったのはまさにそこで、今回の試乗ではそれをリアルに実感した。試乗開始10分後には、これまでとの違いを確信したほど。大パワーを受け止めるフレームやクイックで正確なステアリングの動き、しっかり地に足の着いた乗り味が、信頼性があって頼もしい。特にクローズドエリアで行った時速 240㎞ までの急加速と急制動は格別。背の高い SUV であることを忘れる運動神経を見せてくれた。
試乗コースはロンドンからクルマで 2 時間ほど走った、マナーハウスで知られるコッツウォルズやその北のオックスフォード周辺だった。大半は気持ちの良いカントリーロードで、街中、ワインディング、モーターウェイがうまくミックスしている。そこを一日約 400㎞ 走らせるのだから、開発陣も相当自信があるのだろう。とにかく世界中の自動車メディアにたくさん走って実力のほどを体感してもらおうという算段だ。
ではもう一つの分野はどうか。言うまでもなく新型はお得意のオフロードでも性能を発揮。開発に使うイースナーのコースでは適切な駆動力で安定した走りを見せた。実力は……ご想像の通り。例えば水深を深めるなど、これまでのスペックを上回る進化でギャップをクリアする。
といった新型スポーツの出来栄え。さてさてこのトップランナーにライバルは付いてこられるか!
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※『Nile’s NILE』2013年9月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています